2012年9月16日日曜日

凱旋門賞に近づくのはどの馬か? GIIニエル賞

GIIニエル賞(3歳牡牝芝2400m)
 フォワ賞と並んで、凱旋門賞のステップレースとして注目の一戦。3歳馬限定だが、ここ10年凱旋門賞を見ると2002年のマリエンバード(当時5歳)、2007年のディラントーマス(当時4歳)を除いて3歳馬が8勝しており、このなかから今年の凱旋門賞を制する馬が出てもおかしくない。ちなみにダラカニ(2003年)、ハリケーンラン(2005年)、レイルリンク(2006年)の3頭がニエル賞と凱旋門賞を連勝、バゴ(2004年)はニエル賞は3着に敗れたものの、凱旋門賞を制している。

 おそらく人気になるのは今年の仏ダービー馬サオノワSaonois。ダービー以来の出走で、目標は当然の凱旋門賞。気になるのは仕上がり具合だが、ダービー馬として出走する以上は恥ずかしいレースはできない。ダービーではインペリアルモナークの出遅れなど運も味方した感もあるが、真の実力を見せつけて欲しい。

 サオノワを追う馬たちはなかなかの粒揃い。キャリアも浅く、まだ底を見せていない馬がおおい。ラストトレインLast Trainはまだキャリア4戦ながら、前走初挑戦のGIパリ大賞でインペリアルモナークの2着。仏ダービー2着馬サンボドリーノには半馬身先着している。
 こちらもキャリア4戦ベリールBayrirも侮りがたい。条件戦でラストトレインを破ったスモーキングサンSmoking Sunを下した前々走、重賞初出走で圧勝した前走ウジェーヌ・アダン賞を見るといまだ成長途上にあり、逆転もありうる。
 スモーキングサンは前走ギョーム・ドルナーノ賞でサンボドリーノの5着と案外。一線級相手では苦しかったか。
 穴馬として注目はルミュドゥラトゥールRemus de la Tourドーヴィル大賞を制して今秋注目の良血馬マスターストロークをGIIIリス賞で下しており、実力は十分互角に戦える。

    馬名               騎手
1 ラストトレインLast Train                  M・ギュイヨン   
2 ベリールBayrir               C・ルメール
3 ケザンプールKesampour              M・デルザングル
4 スモーキングサンSmoking Sun       P・バリー
5 サオノワSaônois             J.-P.・ゴーヴァン
6 ルミュドゥラトゥールRemus de la Tour    K・ボルゲル


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2012年9月15日土曜日

マイル王&最強牝馬決定戦 GIムーラン・ド・ロンシャン賞とGIヴェルメイユ賞

GIムーラン・ド・ロンシャン賞(3歳以上牡牝芝1600m)

 マイル・チャンピオン決定戦と言うにはあまりにも寂しいメンバー構成。ここはGIで善戦が続くもいまだ勝ち星がないファーFarhhが初GIのタイトルを獲得する可能性が高い。
 これまでGIでは4戦して2着3回3着1回。負けた相手はフランケル、ナサニエル、ソーユースィンクと強敵ばかり。彼らがいないレースでは負けられない。相手は今年のモーリス・ド・ゲスト賞馬ムーンライトクラウドMoonlight Cloud。モーリス・ド・ゲスト賞から連闘で挑んだジャック・ル・マロワ賞は4着。実力は十分だが、夏の過酷なローテーションの疲れが取れているのか、1600mの距離がどうかという点がマイナス材料。ドーヴィル競馬場での平坦直線の1600mならば何とか対応できても、よりスタミナとパワーが求められるロンシャン競馬場では、2000mまでこなすファーの方に分がありそう。
 3歳牝馬のサルキラSarkiylaも不気味な存在。アガ・カーン殿下所有、ロワイエ・デュプレ調教師の管理馬でこれまで5戦4勝。前走リウレー賞で初重賞勝ちを果たした。上位2頭にどこまで食い込めるか。


       馬名           斤量    騎手     
1 ファーFarhh                                                  58         F・デットーリ
2 ムーンライトクラウドMoonlight Cloud     56.5   T・ジャルネ
3 キャスパーネッチャーCasper Netscher      56  S・ケリー
4 サルキラSarkiyla                                           54.5   C・ルメール


GIヴェルメイユ賞(3歳以上牝馬芝2400m)

こちらは秋の最強牝馬決定戦として面白いメンバーが揃った。粒揃いでなかなか予想が難しいが、勝負の分かれ目は馬の状態だろう。このレースを目標に仕上げてきたのか、次のレースのステップとして八分程度の状態なのか。陣営の本気度が窺える馬で勝負したい。

 人気になるのはシャレータSharetaだろう。昨年凱旋門賞2着馬で、前々走さん=クルー大賞ではメアンドルの2着、前走ヨークシャー・オークスで初GIのタイトルを手にした。目標は当然次の凱旋門賞であるだけに、ここではまだ仕上がり途上か。

 今年に入ってGIを3着、3着と勝ちきれないレースが続いているガリコヴァGalikovaだが、昨年このレースの覇者であり、相性のいいコースで巻き返しを図る。GIIコリーダ賞でシャレータを下したソレミアSolemiaも十分勝ち切る力はある。
 夏に力を付けてきた組ではラポムダムールLa Pomme d'Amourが一番手。前走GIIポモム賞で2馬身差の快勝。好調を維持しており、目標のこのレースでは結果を残しておきたい。

吉田照哉氏所有のピリカPirika、吉田勝己氏所有のサロミナSalominaにも注目しておきたい。ピリカは前々走でラポムダムールを破っており、力的には遜色ない。

            馬名                斤量    騎手
1 シャレータShareta                                              58    C・ルメール
2 サラリンクスSarah Lynx                                    58    L・デットーリ
3 ラポムダムールLa Pomme d'Amour                  58    M・バルザローナ
4 ガリコヴァGalikova                                            58    O・ペリエ
5 ソレミアSolemia                                                  58    C・スミヨン
6 ピリカPirika                                                         58    P・ブド
7 ロマンティカRomantica                                     54.5    M・ギュイヨン
8 サガワラSagawara                                              54.5    T・ジャルネ
9 イエローアンドグリーンYellow and Green     54.5        T・チュリエズ 
10 セディシオーザSediciosa                                 54.5     G・ブノワ
11 プリンセスハイウェイPrincess Highway       54.5              P.-J.・スムレン
12 シダーラSydarra                                               54.5     F・プラ
13 サロミナSalomina                                             54.5     A・スターク








 


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オルフェーヴル、凱旋門賞に向けて最初の壁を乗り越えられるか? GIIフォワ賞

凱旋門賞まであと3週間となる9月16日(日)、ロンシャン競馬場では9レース中7レースが重賞(うちGI2つ)と重要なレースが目白押し。

 まずは日本で最も注目されるGIIフォワ賞(4歳以上芝2400m)から。出走は5頭だが、注目は何と言ってもオルフェーヴル。凱旋門賞に向けた仕上がり具合、フランス競馬への順応度が問われる本レース。とはいえ池江調教師は帯同馬アヴェンティーノAventinoとの2頭出しという用意周到ぶり。スミヨン騎手に乗り替わり、果たして前哨戦で幸先よく勝利を収めることができるか?

 オルフェーヴルの前に立ちはだかるのはGI連勝中のメアンドルMeandre。3歳時にGI パリ大賞を制し、挑んだ凱旋門賞では6着に破れるものの、今年に入ってGIサン=クルー大賞で後にキングジョージを制するデインドリームDanedreamを下し、前走GIベルリン大賞では圧勝。大舞台で勝ちきるまでのイメージは浮かびにくいが、凱旋門賞でもある程度人気になりそうな馬だけに、ここではきっちり力関係を示しておきたい。

 それ以外に相手になりそうな馬は見あたらないが、念のため目を通しておくと、ジョシュアツリーJoshua Treeは前走ドーヴィル競馬場でのGIIケルゴレ賞を逃げ切り勝ち。約1年半ぶりの勝利を挙げた。そのジョシュアツリーを前走プリンスオブウェールズSで破り、重賞初勝利を挙げたフィオレンテFiorente

 さてもう一頭アヴェンティーノにも注目しておこう。日本での成績を見る限りでは確かに分が悪いが、フランスで通用するかどうかは走ってみなければ分からない。戦績を見る限り力のある馬場は得意なようなので、ロンシャンが合っていないとも限らない。おそらくスローになりすぎないようにある程度前で引っ張る展開になるだろう。直線でオルフェーヴル、メアンドルが交わしに来るのをこらえて、3着を死守できるか。日本の条件馬とフランスの重賞馬の力関係を探る意味でも楽しみだ。

  馬名       斤量    騎手      調教師
1 フィオレンテ    58  K・ファーロン   Mr. スタウト
2 メアンドル     58  M・ギュイヨン   A・ファーブル
3 ジョシュアツリー  58  L・デットーリ    M・ボッティ
4 オルフェーヴル   58  C・スミヨン    池江泰寿
5 アヴェンティーノ  58  A・クラトゥス   池江泰寿



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2012年9月11日火曜日

9月9日 ロンシャン3重賞

凱旋門賞まであと1ヶ月を切ったロンシャン競馬場で、9月9日(日)、3つの重賞が行われた。凱旋門賞ウィークに行われるGI、GIIのステップレースと位置づけられるだけに、注目しておきたい。

GIIIラ・ロシェット賞(2歳芝1400m)

出走6頭のうち唯一の牝ワットアネイムWhat a nameが一番人気に応えて快勝。調教師はM・デルザンジ、馬主はH. H. シェイク・モハメド。これで3戦2勝。次走はジャン=リュック・ラガルディエール賞(2歳牡牝芝1400m)が有力視されているが、マルセル・ブサック賞(2歳牝芝1600m)にも登録されているとのこと。

GIIIリュテス賞(3歳芝3000m)
長丁場の本レース。前走ドーヴィルでのリステッド・レース、ミシェル・ウイヴェ賞の上位5頭の再戦といった様相。結局前走ともに4.3倍で一番人気を分け合った3頭が、上位を占めた。勝ったのは前走5着に敗れたヴェレマVéréma。人気を落としていたが、見事雪辱を果たした。調教師はA・ロワイエ・デュプレ。馬主はアガカーン殿下。前走の1着オンリーアプレジャーOnly a pleasureは3着、前走2着のカンティカンCanticumが2着と順位が入れ替わった。上位馬は凱旋門賞ウィークのGIIショドネ賞で再び相見える公算が高い。
 ルメール騎手はこの日3重賞のうち2つを制し、どちらも牝馬での勝利となった。

GIIIパン賞(3歳以上芝1400m)
凱旋門賞と同日に行われるGIフォレ賞(10月7日芝1400m)に向けたステップレース。勝ったのは昨年の4着馬ブルーソアーヴBlue Soave。条件戦2連勝で臨んだこのレース。GIモーリス・ド・ゲスト賞で好走したアメリカンデヴィルAmerican Devil、ロックウッドLockwoodに人気が集まったが、伏兵ブルーソアーヴがまんまと逃げ切った。これで24戦7勝で、重賞初制覇。F・シャペ調教師の管理馬、馬主はK・ブリュトー嬢とC・ギュスターヴ夫人。


    
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2012年9月5日水曜日

2012年仏ダービー馬サオノア 復帰に向けて着々と...

今年のジョッケクルブ賞を11番人気の評価を覆して制したサオノアSaônoisだったが、ようやく復帰戦に向けて調整にようやく本腰が入ってきた。

 3歳6月の時点ですでに12戦(6勝)と使われ続けてきた疲れはもう抜け切った。重要なレースの前はほぼ常に調教を行ってきた、いわば彼のホームとも言えるリヨン・パリー競馬場で、9月4日、仏ダービー以来となる追い切りを行った。ジャン=ピエール・ゴーヴァン調教師いわく、調整始めはしなやかさにかけ、不安を覚えたが、先週あたりから調子が上向きになり、追い切りをすることに決めたとのこと。春の時点では調教パートナー、ルヴィニーと同着がほとんどだったが、この日の調教では悠々と先着してみせた。「リヨンに来ると、調子を取り戻そうとするみたいで、安心したよ」とゴーヴァン調教師は語る。

 今後については明確なプランは決まっていないものの、復帰戦としては2400mのニエル賞が第一候補、まだ不安があれば2000mのプランス・ドランジュ賞へとのこと。馬の状態を見極めてからとはいうものの、やはり凱旋門賞を虎視眈々と狙っている様子。今年の凱旋門賞の古馬の壁は厚いが、ひとまず前哨戦で好成績を残し、3歳の代表格として凱旋門賞に名乗りを挙げてもらいたい一頭だ。

                                            2012年ジョッケクルブ賞     
          
          
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2012年9月4日火曜日

欧州中距離頂上決戦 シリュスデゼーグル、フランケルとの対決へ

 GI3勝馬シリュスデゼーグルCirrus des Aigles(セン6歳)が、チャンピオンS(10月20日アスコット競馬場・3歳以上2000m)で、連覇をかけて怪物フランケルとの対決に挑むプランが調教師により発表された。
 登録していた今週(9月8日)のアイリッシュチャンピオンSを調整不足のため回避し、秋の緒戦として9月15日メゾン=ラフィット競馬場でのラ・クープ・ド・メゾン=ラフィット(GIII3歳以上芝2000m)か、もしくは凱旋門賞ウィークに行われるロンシャン競馬場でのドラール賞(GII3歳以上1950m)という昨年と同じローテーションのいずれかに出走するとのこと。
 昨年度からアスコット競馬場に変更になったチャンピオンSでソーユースィンクを、今年に入ってからはドバイ・シーマ・クラシックではセントニコラスアベイといった一線級を斥け、続くガネー賞も連勝。前走イスパーン賞はゴールデンライラックに足許をすくわれ2着に敗れるものの、6歳を迎えてますます充実してきた感のあるシリュスデゼーグル。IFHA(国際競馬統括機関連盟)によって先月発表された2012年上半期のワールド・サラブレッド・ランキングではフランケル、ブラックキャヴィアに次いで第3位にランキングされているように、中距離では間違いなく現在トップレベルの実力。スプリント専門のブラックキャヴィアを除けば、実質中距離の1位、2位対決といっても過言ではない。
 インターナショナルSでのセントニコラスアベイとの着差を考えれば、フランケルの力はずば抜けていることは言うまでもない。ただ引退レースになる予定のチャンピオンSでもそうやすやすと勝たれてしまっては面白くない。フランケルの真の実力を見せてもらうためにも、シリュスデゼーグルには万全の状態で挑んで欲しい。                    


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2012年9月1日土曜日

アグネスワールド追悼 1999年アベ・ド・ロンシャン賞

8月20日、アベ・ド・ロンシャン賞、ジュライCを制したアグネスワールドが、社台スタリオンセンターで亡くなったとのこと。
 桁違いのスピードを持っていたものの、気性の悪さから、一本調子なレースしかできなかった不器用さが、かえって愛おしく感じられる馬でした。

 アベ・ド・ロンシャン賞(アベイもしくはアベイユと表記されることがありますが、正しい仏語の読み方はアベです)に挑戦すると報じられた時、いまだGI勝ちのない馬(中央GIII1勝、地方GII1勝)が海外GIに挑戦するなど無謀だと多くの人が思ったことでしょう。前年にタイキシャトルが ジャック・ル・マロワ賞を制したものの、すでに国内GI3勝を挙げていたからこそなし得たのであって、GIで連帯すらできない馬が海外の馬と勝負できる訳がないと。
 しかし森調教師はアグネスの素質が最も発揮しやすいのは1000mの、しかも直線コースだと確信し、周囲からは無謀とも思える挑戦をし、見事快挙を成し遂げました。環境の違いに対応し実力を発揮したアグネスの頑張りそのものはもちろんのこと、その馬に最も適したレースがあれば、国内外、中央地方問わず果敢に出走する森調教師の姿勢は十分賞賛に値すると思います。(森調教師はその前年1998年にもモーリス・ド・ゲスト賞をシーキングザパールで制し、日本調教馬初の欧州GI制覇を成し遂げている。)
 もしアグネスワールドがアイビスサマーダッシュに出走できていたらどんなタイムが出たんでしょう。カルストンライトオとの快速馬対決は、ありえないですが、見てみたいです。
 アグネスワールドの冥福を祈るとともに、アベ・ド・ロンシャン賞でのアグネスワールドの勇姿をご覧ください。


1999年 アベ・ド・ロンシャン賞
         (ドージマムテキも出走してたんですね。
          帯同馬としてでしょうが、すっかり忘れてました。)


 アグネスワールド 生涯成績 20戦8勝(うち地方1戦1勝 海外4戦2勝)
  父ダンジグ 母ミステリーズ 母父シアトルスルー
  半兄にヒシアケボノ(スプリンターズS)



           
   アグネス、シーキングの海外挑戦についてなど、森調教師の競馬についての考え方がこの一冊に凝集されています。競馬に興味がある方はぜひご一読ください。

                      
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